事例紹介1

Aさん・20代男性
(支援期間 8ヶ月)
支援につながったきっかけ 大学4年次にエントリーシートに自己PRを書けないことがきっかけとなり、就職できずそのまま自宅で引きこもり状態となりました。5年ほど家族以外と接点がない状態が続き、両親とハローワークに行ったことがきっかけで就労準備支援事業に繋がりました。本来であれば地域若者サポートステーションなども利用できる方でしたが、対人不安が強く、緊張が高かったことやグループワークに参加できないなど個別支援を望まれていたため、支援決定となりました。
支援開始時の不安・困りごと
  • 小さなときから友人を作ることが苦手で、社会経験の不足があり不安を抱えていました。
  • 新卒でうまく就職できず5年ほどブランクがあったため、就労に不安がありました。
障害者手帳 なし
支援内容
  • 1ヶ月目:定期的な面談による困りごとの聞き取り、アセスメント
  • 2ヶ月目:「何から始めていいのかわからない」「自分が何ができるのか分からない」という言葉からレディネステスト(職業適性検査)を実施。対物に興味があることが分かりましたが、経験値がほとんどないことから、本人もピンときませんでした。
  • 3ヶ月目:就労体験を3ヶ所実施することを提案。とにかく「経験をつむこと」を目標にすることで本人も同意。
  • 4ヶ月目:1ヶ所目、高齢者施設での就労体験。いきなり対人の仕事をするのではなく、まずは施設内の水周りや窓ガラスなどの清掃に特化。1ヶ月間実施。
  • 5ヶ月目:2ヶ所目、コミュニティカフェで就労体験。少しコミュニケーションの部分を使った仕事を体験。接客やチラシの作成、カフェの片付けなどを体験。1ヶ月間実施。
  • 6ヶ月目:3ヶ所目、配送センターの倉庫内作業の就労体験。より「業務」の色合いの強い仕事を体験。宅配を終えたトラックに積んである資材の片づけを体験。1ヶ月間実施。
  • 7ヶ月目:本人の意思により、「ジョブカフェ」に同行。登録をして、グループワークに参加するようになる。その後は一人でやってみるということだったので、しばらく見守りました。
  • 8ヶ月目:本人から連絡があり、正社員での就職が決まったとのこと。研修先が遠方ということもあり、継続支援はせずに振り返りをして、支援を終結しました。
備考・その後
  • ご本人は自覚していませんでしたが、とても真面目で仕事に対しても誠実でした。また、仕事で疑問に思ったことを自宅でインターネットで調べて自分なりに工夫をして仕事に取り組む姿勢が就労体験先でとても評価されました。
  • 特に2ヶ所目のコミュニティカフェでは本人も楽しんで体験をしていた様子がうかがえ、体験就労後もボランティアとして通っていました。他者と一緒に仕事をすることや、仕事そのものを経験することによって、自分がどういう存在なのか、自分の良いところは何なのかということが少しずつ分かってきたのではと考えています。
  • ご家族関係のことはあまりヒアリングしませんでしたが、就労体験の交通費を捻出してくださったり、3ヶ月間色んなところに出かけていたことについても、黙って見守っていたような雰囲気が感じられ、ご本人の動こうとする意思を尊重されていたのではと思います。親御さんのこうした見守りの姿勢もご本人にとっては良いサポートになったと思います。
  • 支援が終結した際には、自主的に体験先にお礼状を送付した際には体験先のご担当者も涙を流して喜んでいた姿がとても印象的でした。